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暑い日・曇りのち雨
2008年8月14日,15日
今年の夏は暑いらしい。などとまるで他人事のようなことを言っているが、7月の暑さですっかりやられてしまって暑いのだか何だかよく分からないのである。安物の寒暖計は当てにはできない。しかし我が家の極悪猫はいたって元気、一昨年のようにすっかり夏バテして冷蔵庫の上で融けかかっているなんてこともなく、相変わらず極悪猫の本領を発揮している。猛暑とはいってもまだまだ大したことはないようだ。
今年も8月14日、15日と出掛けることになった。なんだってまたこの時期にというと、いつものことたが今まで時間が取れなかったというだけのこと。お盆休みにかかるのて旅行客やカメラマンも多いので、それを期待してのこともある。いつもながら直前になって大慌てで準備である。あまり慌てていたので地図さえも用意できなかった。行けば何とかなるだろ。行き先は津和野、あとは手堅く仁保と篠目。津和野は今回が始めてである。津和野〜船平山間を見ておきたいということもある。ただ到着してからの時間がないのでゆっくり下見などは不可能。お得意の行き当たりばったりの行き倒れという感じでやってみることにする。
10:38発。ダイヤ改正の影響なのか、なぜか今年は新山口からが特急になってしまった。お盆の中日なのだが、岡山駅は旅行客で意外に混雑している。やってきた新幹線も混雑状態でオイラはデッキ組の新参者になった。新山口で特急に乗り換え。短時間で到着してしまうのはちょっともったいない気もするが、窓が広くなかなか見晴らしがいい。こちらもおなじく混雑状態でデッキまで満杯である。船平山から白井トンネルを抜けて津和野までの下り坂は大体地図から予想した通りだが、路線と道路の段差がかなりあって斜面は急勾配。意外と人家が多い。山と山が競り合う隙間に川と道路が横たわり、その上を線路が走っているという感じである。峠の下りも終わりに近づいて視界が開けると、谷あいに町並みが見えてくる。
Sample1.mp3 1分40秒 1.90MB 長くなるので津和野の発車の汽笛はカット。汽笛の歪を心配したが、むしろ厳しいのは通過時のドレンの音だった。最後のほうで小さく聞こえる長い汽笛は鉄橋の辺りだろう。人工ヘッド"Alqays"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
13:55津和野着。駅は町のほぼ北の端である。とにかくほとんど時間がないので急いで場所を探さなければならない。とりあえず路線の西でと考えていたのでそちらへ渡ってみたが、思ったよりも住宅が密集していてマイクを置ける場所そのものがない。線路で行き止まりになった路地が一つあるが、少し引くと建物に遮られて見通しが悪い。永明寺の前の墓地は高台になるので見通しはいいのだが、路線の向うの通りの騒音が入ってくる。
一度駅まで戻って再び西へ向かう。線路のところまで来ると、ポイントの切り替えのためにやまぐち号が踏切の所へ出てきている。ここでは小さなカメラマンが活躍中。駅の近くではほかには一人も見掛けなかった。踏切から駅よりは線路に沿って道路が走っている。山から流れ出る川に架かった橋の傍がスペースが広く開いているのでマイクをセットしたのは大失敗、直前になって見物の車が次々とやって来て停車した。前方の車のクーラーの音がけっこうやかましい。こちらは踏切の所まで下がって見物客を撮影。
駅からの距離は100mほどなので、発車の汽笛の音はかなり強烈である。しかし後で聞いてみたら、むしろ通過時のドレンのほうがはるかに強烈でレベルが高く歪気味だった。せっかくの録音機のキャリングベルトを持って来たので、三脚を担いで状況に応じて場所を移動しながら観客の声を積極的に取り入れたほうが良かったかも。津和野川にかかる鉄橋のあたりでの長い汽笛を最後にC571は消息を消した。
あとは特に予定があるわけでもないので街の中を散歩。落ち着いた雰囲気で、観光地が苦手なボクでもあまり違和感を感じない場所だ。で、録音できそうな場所というと意外と見たらないのである。鉄橋の近くに線路で囲まれた静かな場所があるが、なぜかマムシを2匹取り逃がしたので注意という立て札。婉曲な立ち入り禁止の表示なのか。もう少し時間をかけて歩いてみないと分からない。足を伸ばして峠の方に行くには駅前のレンタサイクルが利用できそうだ。本日降雨率は40%という予報にもかかわらず朝からまずまずの好天、しかし散歩の途中で土砂降りの雨になった。降雨率は十二分に達成という感じである。町の明かりが灯るころ列車に乗り込み仁保に向かう。残念ながら夕闇の迫る中では峠の様子は見ることができなかった。
20:00着。仁保駅の夜の駅長、ヘルペス病みの白いチビ猫は今年も元気そうだ。朝までホームで猫又列車の運行を取り仕切る。21:00過ぎまで池の辺りまで下りて録音していたが、あまり面白いものもないので引き上げ。向かい側の山に反射した列車の通過音はなかなかきれいだった。帰り道でパトカーと地元の車が2台連なって巡回しているのに出会う。いったい何事なんだろう。
Sample2.mp3 1分08秒 1.29MB 二反田のニホンザル。道路と牧川川が交差する辺りでの録音である。今年は数匹の声が聞こえていたが、10分ほどで山の奥に移動していった。人工ヘッド"Alqays"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
ヒグラシの合唱で始まった夏の朝は、8月も半ばを過ぎているのでつつましいもの。ほどなくニイニイゼミの声に取って代わられる。天気はまずまずだが、すでに性悪の雲が山の端低く配備されているのはいやな予感がする。今日一日大丈夫なのか。本日降雨率50%。いったん山口まで引き返して再び仁保へ。列車にはもちろん冷房が付いているが、天井の扇風機の風の心地よいこと冷房の比ではない。これってなかなか省エネだね。
陽もかなり高くなった頃に二反田までお散歩。今年はサルの檻は片付けられ、檻の置いてあった畑はきれいに耕されている。「熊に注意!!」の立て札は去年のまま。植林された奥の畑の木はまた少し成長している。去年は十数匹見かけたニホンザル、正味の実体は不明だが今年も数匹分の声が聞こえてきた。道路の端に三脚を立てて録音してみたが10分ほどで山の奥に移動していった。
あとはいったん駅まで引き返して水の補給である。途中で一人のカメラマンに線路へ出る道を聞かれたが、説明しても分かりにくいから近そうなところから山の中を突っ切った方が手っ取り早いですよと答えてしまった。無事にたどり着けたかしら。時間は多少余裕があったので入り口まで案内してあげればよかったかも。駅に戻るともう一人カメラマンがやってきてホームの西側の斜面に三脚をセットしていた。
Sample3.mp3 1分33秒 1.79MB 同じく牧川川と道路の交差する橋の上で。仁保、というより山口線の路線沿いでは、あまり鳥の声を多くは聞かない。人工ヘッド"Alqays"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
山線へは去年下りた道を探して上ることにする。ところが長い道を辿って出口まで来ると道にトタン板で柵かできている。どうなっているんだ。柵の脇を回って線路へ出るとすぐに仁保到着の汽笛が聞こえてきた。どうもおかしいのて確認すると、なんと発車時刻を20分ほど遅く勘違いしているのだ。これは大変とあわてて近くの低い切り通しの斜面の上にセット。イマイチ駅方向の見通しが悪いが仕方がない。撮影はもう少し駅寄り、擦り切れた定番の撮影ポイントに這い登る。今回はカメラマンが少ないせいもあって盛り上がりはもう一つだった。
録音は帰りが遅くなるので昼の列車には間に合わない。時間が空いてしまったのて、駅から再び国道沿いに出て売店で有り合う糧食をゲット。オイラのヒルメシはますます公表をはばかるものになっていく。そのヒルメシも帰りの道々にバリバリと食い散らして池の傍で涼んでいると、まだ夕方でもないのにヒグラシが鳴き始めた。空気の温度が下がってきているのである。これは危ないかな、と思っていたらまもなく雨がパラつき始め、駅まで戻ると昨日を上回る土砂降りになってしまった。天気予報の周到さにはまったく油断がならない。これで今日の降雨率50%の帳尻はすっかり合ったようなものだ。つぎは篠目である。
14:20着。篠目は駅の東の山の斜面ではと考えていた。中腹の高台のようになった墓地の下側の藪が切り開かれて見通しが良くなった場所がある。下の民家の日照の確保のためのようだが、急斜面の竹や木を広範囲に切り払うと土砂崩れが起きたりして危険。周囲の山ではこの場所だけなので何だか異様な感じである。幸い雨も止んで時おり晴れ間も見えてきた。現場へ行ってみると墓地よりも墓地のすぐ下の山道の方が見通しもよさそう。高い位置になるので山向うの国道の騒音もわずかに入ってくる。セミの声を騒音のマスキングにでもということで道を上がって木の近くに場所を決定。あとは時間つぶしに篠目小学校辺りまで散歩である。
到着の30分前に帰ってマイクをセット。駅では見物に来た子供たちが騒いでいる。時間待ちしていると次々と車がやって来て駅の北側に停車。田代の方に上っていく車も何台かある。撮影のカメラマンなのだが、朝の仁保では二人だけだったので予想外だ。多分発車の直前まで車は続くはず。でもこの高さから録っているのだからどうしようもない。篠目への入場はほぼ例年通り。汽笛は周りの山につぎつぎど反射してエコーの曼荼羅という感じで返ってくる。意外だったのは到着してからの動力車のディーゼルエンジンの音が異様に大きいこと。ホームの様子や周りの細かい物音がかき消されてしまう。篠目の出発の汽笛はまずまずだがエコーは思ったより少なめ。田代方面は視覚的にもそうなのだが音的にも見通しが悪く、周りのノイズに消されて走行音はほとんど聞こえない。トンネルに入る前の汽笛がかすかに響いてくるだけだ。
10分ほど待って撤収。帰りの列車は一時間後である。駅の近くまで戻るとヒグラシが鳴き始めたので録音でもしてみようと西側の山裾にマイクをセットしたらすぐに鳴き止んでしまった。再び風の温度が下がって鳴き始めた頃には時間切れ。大急ぎで片付けて駅に向かう。駅には列車を待つカメラマンが3人ほど。帰りの新幹線はがら空き状態でゆったりできたのはありがたいが、もう少しで居眠りして乗り過ごしそうになった。
今回はじめてPCM−D50を持って行ったわけだが、録音はすべて24bit48kHz。録音レベルの設定は少し余裕を見すぎて全体に低めになってしまった。リミッターもかけていたので、多少のクリップは覚悟でもう少し高めにしても良かったのではないかという気がする。そういうわけでレベル設定でビット数を浪費してしまったが、ダイナミックレンジの大きな音源では微小音に対してやはり安心感はある。ただ録音時間についてはちょっと不安を感じた。数日を超える旅では高価なメモリーを多数用意するか、パソコン持ち歩くかしかないが、できればパソコンなんて小邪魔なものは持って行きたくないし、AC電源を用意できる拠点が必要になる。メモリーの方は容量とコストの問題なので、いずれ時間が解決するはず、なのだが録音機のメーカーが直ちに対応してくれるかは疑問。そもそも必要性を感じているのかどうかすら分からない。一般の人は現状でも十分と思っているのではないかと思う。
というわけであっという間に過ぎ去ってしまった二日間。今年はもう一度くらい出掛けられればと思うのだが、はたして時間がとれるのかな。

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