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休日・超ローカルな旅
2003年11月24日
11月22日(土)、11月23日(日)と、こちらでは邑久バルーンミーティング2003の開催である。昨年のバルーンミーティング2002には33チームが参加、2日間とも朝早くから掛け回って録音を楽しんでいたが、今年は土曜日が仕事ということになってしまって出られないのである。翌日の日曜は半日だけの開催で昼には解散になってしまう。それに2日目ともなると、やはりメンバーの顔に疲れは隠せない。遠くから駈けつけるチームにとって、このミーティングへの参加はかなりの強行軍なのだ。そこで今年は行かないことに決め、連休の2日間身近な場所を尋ねてみることにした。
Sample1.mp3 1分05秒 1.24MB スズメバチの巣の前1.5mにセットして録音。いつもなら殺気立つハチも今日はなぜか穏やかな表情だ。頭の回りをブンブン飛びまわる音は聞いていて楽しい。人工ヘッド"Alqays"とTCD-D7で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
普段よく出かける身近な場所というのに町営キャンプ場がある。町の南、山裾が深く切れ込んだ奥に家が3軒ばかりあり、そこから短い林を経て谷川沿いの700m程がキャンプ場である。施設らしい施設もなく、あまり整備もされてないのがかえって好ましく、たずねて来る人も多い。車の騒音も少なく人家も近いので、わりと音は豊かで変化に富んだ場所である。
ところが今年の6月に松食い虫の防除のためにヘリで薬剤散布をしたせいか、夏には蝉がほぼ全滅。秋も終りという頃になっても鳥が妙に少なく、数年前はやかましいほどだった百舌の声さえほとんと聞えない。ここまでひっそりとしてしまっては、さすがに音にはならない。そこで、どこか良いところはないものかと、以前2,3回来た事のあるこの場所を尋ねてみた。
ちょうど山をはさんで町営キャンプ場の反対側。山裾の小さな集落のはずれから西南に向かって、山道を登って行くと、すぐに最初の池が右手に現れる。このあたりから風景が一変して、なにか場違いな所に来たような玄妙な印象を受けるのは以前訪れた時と変わらない。道は緩やかになり、さらに2つの池が続いているが、そこを過ぎると突然視界が開けて、畑と水田の続くやけに人間臭い風景に変わる。その中を300mほど登ると辿りつくのは、山の頂上というより馬の鞍のようになった場所で、10軒足らずの人家があり、周りを田畑に囲まれた、結構あっけらかんと開けたところだ。往時のタバコ栽培のなごりで乾燥小屋があちこちに残っている。
ふもとの集落からこの場所まで、わずか2Kmにも満たない距離なのだが、騒音が少なく、環境にも変化がある。箱庭とまではいかないが、一口サイズというより試食サイズ。わずかな距離で風景が変わるのでかえって印象が強い。録音にはなかなか悪くない場所である。じっさい3つの池には水鳥が20〜30羽泳いでいるし、季節はずれのウグイスの声があちこちから聞えてくる。
とりあえず集落の上の蜜柑畑の前に三脚を立てて録音を始める。時計は9時半。少しばかり遅過ぎる時刻だ。退屈しのぎに反対側の斜面に渡ってあたりを散策していると車の音。まさかと思って見ていると、そのまさかである。軽トラックがさっきマイクをセットした道を登って行く。どうも墓参りらしい。あわてて飛んで帰って三脚の移動である。あとから歩いて来た人から、「さっき登って来た人だね・・・」と声を掛けられた。悪いコトはできないナ。
反対側の斜面に移って畑の傍の道を歩いていると、スズメバチが数十匹飛びまわっている場所を発見。藪の奥1.5mくらいの地面の中に巣があるらしい。万一怒らせれば命にかかわりかねない危険な生き物。危ないかなと思ったが、季節柄なのか人慣れしているのか、顔を見ると殺気がなく穏やかな表情である。これなら大丈夫と藪の前に三脚をでんと据えた。頭の回りをぶんぶん飛びまわるスズメバチの羽音はなかなかの快感!。実に心安らぐ音だ。昼過ぎになったので切り上げて家路を急ぐ、今度はうちの墓参りなのだ。
あたりが暗くなりかけたころ、最後の飛行を終えた地元のクラブの熱気球が一つ、近くの田んぼに着地した。
Sample2.mp3 1分07秒 1.28MB もうしばらくで正午という頃、何種類かの鳥が一度にやってきて急に賑やかになった。人工ヘッド"Alqays"とTCD-D7で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
翌日は目が覚めると時刻は6時半、外はもう明るくなり始めている。慌てて機材を担いで出発。ふもとに着くと既に7時過ぎだ。意外と時間が掛かるものである。山道を登りかけたあたりから鳥の声が賑やかだ。池の傍を通りかかると、向こうから道のまん中をイタチがとことこやって来た。こちらに気付いているのかいないのか、いっこうに気にしていない様子である。立ち止まって見ていると、3mほど手前で山の中に入っていった。
集落の上の畑まで登ってみると、ふもとの方からどよめくような騒音が這い登ってくる。昨日は気付かなかったが、南側はふもとまでわずか1Km足らず、地上の十分に温まらない冬の早朝には騒音は避けられないようだ。ここで1時間ほど録ってみ.る。天候は相変わらず曇ったままで騒音はなかなか消えてくれない。
ふたたび池の周辺まで引き返し、まん中の池の前の木立の中にセットして、そのまま昼頃まであたりの散策を楽しむ。ここでは逆に登ってきた方向から騒音が聞えてくる。しかも遠くの一点から聞えてくるようなピンポイントの騒音だ。これがかえって人里はなれたような気分にさせてしまう。池の堤防を歩いていると、向こう岸の水面近くを飛ぶ翡翠色の輝きが見えた。
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