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なぜか阿波村へ
2003年11月2日
Sample.mp3 1分02秒 1.18MB あちこちから水音が聞える他はいたってに静か。唯一耳で確認できた野鳥らしきものがこれ。あとは百舌とカラスだけだった。人工ヘッド"Alqays"とTCD-D7で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
阿波村に行ってきた。なんでそんなところへっていうと、ただ単にこのあたりが袋小路になった土地だからというだけが理由である。
前日時刻表を検索したが、どうしても午後の到着になる。しかも朝目が覚めると昨日の好天とはうってかわって小雨だ。予報では午後には天候が回復するらしいので、かまわず9時3分の列車に乗って出発。途中で岡山駅と津山駅で乗り換え、12時6分に美作河合着。列車は津山線、因美線の両方の路線とも一両編成のディーゼルカーである。車窓が大きく360度の視界が確保できるので意外と快適。到着した美作河合は谷川沿いの人家から離れたちょっと小高いところにある簡素な無人駅だ。
駅を出るとすぐ耳に入るのは水の流れる音である。至るところから聞えてくる。谷川を渡り、さっそく北へ向かって出発である。
意外だったのは道路がかなり広いことと、車も頻繁に行き来してること。おまけに両側に山が迫って、その間に川と道路があるだけという感じで逃げ場がない地形である。
地図を見ての予想とはかなり違っている。これは困った。
仕方がないのでどんどん北に進んでいくが、数百メートルくらいの間隔で所々に家がある外は、ただただ道ばかり。
4キロほど進むと突然開けた場所に出て、そこが阿波村。4キロ四方くらいの広さで川の両側がなだらかな斜面になっていて、家々が点在している。
ここでも至るところで山から水が流れ出ていて、あちこちから水音が聞えてくる。
しかし妙に静か。朝雨だった天気は回復し気温も上昇してきたが、鳥の声も虫の羽音もほとんど聞えてこない。これには違和感があって、なんとも不気味な感じがする。
山は大部分が針葉樹、それも植林されたものなので、鳥などにとってそれほど暮らしやすい環境ではないらしい。
西側の斜面をぐるっとひと回りしたが、良い場所も見つからないので、東側の斜面に移動。こちらは土地の傾斜も急で、川沿いから上の方に上がって行くと家の数も数えるほど。
そこからさらに林道に入って登ってみたが、この道、谷底まで片側が十数メートルの崖になっているところがあちこちあって、ちょっと怖い。普通の道端のように、何気に草が繁っているので、間違って一歩踏み出したら終りだ。その谷川の石はいつもしっとりしていて苔が多くしかもふさふさしている。
谷川の傍に三脚を立てて30分ほど録音してみたが、流れの音の他はなんの音もしない。さっきまで鳴いていたたった一匹の鳥もさっさとどこかへ行ってしまった。
あまり静かなので途中まで登って引き返し、人家の近くの田んぼの畔でふたたび録音を開始。なんと畔にまで苔が・・・。
ここでも水路と言う水路はすべて水が流れている。やはり山が深く保水量が゛多いからなのだろう。晴天が続いても水が途切れる事はないにちがいない。
あまりに静かなので退屈紛れに近くをうろついていると、下の方で作業をしていた農家の人いつのまにかがやってきて、興味深げにマイクを見ている。
近づいて行くと案の定、何をしているのか・・・とのお決まりの質問である。三脚の上に人間の生首が乗っかっているのは、どこでも異様な光景に見えるらしい。録音しているのだと言うと、つぎは何を録っていると聞かれる。これもいつもの事なので丁寧に答える。どのみち今は水音ばかりである。
しばらくすると鳥が2羽やってきてどうにか音らしきものになった。
晴れ間が見えた天気もいつのまにか曇ってきて、霞みがかかったようになる。川霧のせいなのだろうか。
さらに下に移動して道路脇で40分ほど録音してみたが、音源そのものが少ないのでこちらはほとんど音にならない。
時刻は5時半近く、晩秋の午後は短い。すでに暗くなってきたので、また美作河合まで夜道をテクテク歩いて帰る。人家から離れた人っ子一人いない夜の無人駅はさすがに侘しい。帰宅は10時前、なんとなく疲れた一日だった。
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