<< >> 過ぎ去った時からへ HOMEへ

 日常のありふれた音の記録です
2019年9月
2019年9月28日 午前4時に性悪猫にタタキ起こされ、もうひと眠り・・・と思ったが何だかマズイことになりそうなので、さっさとアサメシを食らってブツブツ言いながら夜明け前に家を出る。この時期どこに行ってもどうにもなりそうもないので、ダラダラ坂を越えていつもの神社のある海岸へ。出掛ける時は穏やかだった風も見る見るうちに強くなり、道の脇の草が大きく揺れ始める。内海なので波は高くないが、着いた時には風もいよいよ強くほとんど波音ばかり。あとは時々聞こえるトンビの声と基底騒音のような虫の声だけ。とりあえず砂浜へ降りる道の途中にマイクをセットして録音開始。いつもは湾の途中の出っ張りの下の浅瀬でエサを狙っているサギも、今日はメシの食い上げらしく岩の上で手持ち無沙汰だ。午前9時を過ぎたあたりでいい加減にイヤになって南へひと山越え、隣の集落の無人の販売店で100円均一の野菜を2袋ゲット。その後も少しあちこち回ってみるが、今日はどこにも何の音もない。あきらめて少し早めに引き上げる。
Sample.mp3 3分26秒、3.92MB 風が強く波の音ばかり。あとは時々聞こえるトンビの声と基底騒音の虫の声。後ろの道を車が通過したため一部カットしている。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
マイクの近くに佇んでいたら、波の音と風の音にまぎれてはっきりとは聞き取れないが、下の廃畑から微かに怪しげな音がする。しばらくすると明るい茶色の体色の若いイノシシが廃畑から坂道の下側にぬぱっと姿を現し、急いで反対側の木の茂った急斜面に駆け込んだ。実はマイクを置いている坂道はすぐ上の市道にほぼ平行につながり、途中で一度急角度で折れ曲がってZ字状に下の砂浜へ下っている。イノシシはさらに急斜面を駆け上って坂道の上側を横切り、もう一度狭い茂みを抜け市道に出て、そこからまた上の山の中へと斜面を駆け上がる。猪突猛進型の最短コースである。いづれも50度近い急斜面。道を通ってくればずっと楽な気がするが、こちらの方がいいらしい。今年はイノシシは少ないのかと思ってたが、9月になって頻繁に見かけるようになった。数ははっきり覚えていないが十数匹以上。もっともそのうちの7匹はいっしょに檻の中に入っていた子供のイノシシなのだけど、やたらと多いのは確か。一日のうちに二度三度と出くわすことも稀ではなくなった。幸い今のところご機嫌の悪いイノシシにはお目にかかってはいない。でも明日のことは分からん。なんだかちょっと物騒だな。

2019年9月23日 朝目を覚ますと台風は北の洋上で当地に最接近の状態。ただ夜半から雨はなく風もそれほどでもない。とはいえこんな日にはどうしようもないのだが、空の便は台風の影響で欠航多数。静かな朝になりそうだ、というので出掛けることにした。なんだか火事場泥棒みたいだが、それはそれである。一山超えていつもの塩田の向かいの山の池の下へ。マイクをいつもの場所にセットし、録音を始めて少しすると上の道の方からワンワンという声。しかも山の中を通ってガサゴソとこちらへ降りてくる。無益な遭遇は避けたいので注意を促したら、上の道に戻ってやはりワンワンと鳴きながら下って行った。声からするとキツネではなさそうだし、散歩に出た飼い犬でもなさそう。以前もいちど出くわしたことがあるが、やはり野犬かな。するうちに上の池の方からプギャヒーという悲鳴。子供のイノシシが何か良からぬ災難にでも遭遇したような声だ。今日は朝から随分騒がしい。それはそれとして来た時から気になっているのが、どこからともなく漂ってくる不穏な糞の臭い。それもお腹をこわした肉食動物が地面にぶちまけたと思しい、音と色と性状がありありと目に浮かぶような糞の臭いである。無害かつ有益で香りも色も好ましい牛馬の糞とは大違い。こんなものと靴の底で対面しては大変なので所在を確かめるが確認不能。でも有難いことに臭いは少なくとも靴の裏からではないようだ。予想通り航空機の音は少ないが、9時を過ぎたあたりから少しづつ多くなる。不思議なのは谷の出口を通る車の騒音がまったく聞こえないこと。あとでわかったのでだがこれは単に風の音に掻き消されたというだけのようだ。風もしだいに強くなってきて、辺りで2度ほど枯れ枝がボキリと折れて落ちる音。しだいに日差しも回復して10時半くらいには引き上げる。明日はもう少し穏やかな天気になると良い。
Sample.mp3 2分52秒、3.29MB たしかに航空機の音は少ないが、あとはただ虫の声と風の音ばかり。mp3なので騒音の低音部分はかなり破綻している。小型マイク"Slivikin"とPCM-M10で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)

2019年9月22日 台風鋭意接近中なのだが前夜は風もなくときたま雨がパラつく程度。早朝には晴れ間さえ見える。これなら大丈夫そうなので出かけることにした。とはいえ無理は禁物、いつ突然大雨になるか分からないので安全を期して屋根のあるキャンプ場へ。9月も後半でこの天気なのでほとんど期待できないが、一番上の調理場に陣取って録音開始。でもすぐに雨はシトシトと降り始めてしだいに勢いを増し、9時頃にはあたり一面が白く煙るような大雨。けっきょく屋根の下で無聊をかこって半日を過ごすことになった。
Sample.mp3 3分44秒、4.28MB 前半と後半はそれぞれ早朝と10時過ぎ。天気の推移も音の通りである。小型マイク"Kalivn"とPCM-M10で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
キャンプ場の一番上のコナラの木の下に枯れ枝が一つ転がっている。このところの雨と強風で折れて落下したらしい。直径は8cmほど。ほとんど虫に食い荒らされた状態だが、それでもズシリとかなりの重量がある。折れたと思しい枝の高さはおよそ8m。運悪く頭の上に落下したりすればその結果は由々しいことになりかねない。普通は悪天候や地震などの時に落下することが多いが、その限りではない場合もある。いちど風もなく天気の良い日に太さ10cm程の枯れ木がとつぜん根元からベキバキと折れて倒れるのを目にしたこともある。こういうのを見るにつけ常に用心は怠れないな、・・・と脳天気なオイラは時たま反省するのである。

2019年9月14日 珍しく日の出前に出かける。ありがたいことにこのところ日の出が目に見えて遅くなった。と言っても良いことばかりではなく朝の静かな時間も日に日に短くなる。せいぜい7時半が8時辺りまでなので、12月ともなれば日の出とともに騒音は増加。暗いうちに出かけなければならなくなるから大変だ。天気は上々だが、わずかにただよう雲はなんだかふやけて滲んだみたいに輪郭がない。一山越していつもの池の下へ出かけたら、途中近くのイノシシの檻の前に軽トラが停まっている。どうやら獲物がかかったようだ。しかも一匹ではないらしい。マイクをセットして散歩の途中また近くを通りかかったら草刈りの準備に取り掛かっている。挨拶をしたら、「殺生だけれども・・・」と何度も前置きをして、この前は大きいのが2匹、今日は瓜坊が6匹入っていたと話してくれた。
Sample.mp3 3分50秒、4.40MB 海はヘッドの見つめている方角、狭い坂道を15mほど下った先にある。マイクの横のクサギの花は満開で強い香りを放っている。風は少し強い。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
あまりにも音がないので8時半頃にあきらめて山を下り、塩田の跡をぐるりと回り海沿いに山を越えて知尾湾へ。途中山道で向こうからやって来たサイクリングの人に出会う。最近はずいぶん増えているような気がするがこの道で出会うのは初めてだ。知尾の砂浜は台風の影響なのかいつもの数倍の漂着物が堆積している。風も強く満潮も間もなくの時刻なので浜まで下りないで上の道の曲がり角にマイクをセット。この時間帯になると航空機の音も絶え間がない。マイクの横には少しばかり遅咲きのクサギの花が満開で強い芳香を放っている。帰路は再びダラダラ坂をだらだら上がり峠を越えて一路西へ。天気は良いがいかにも9月を代表するような音のない朝だ。

2019年9月8日 天気は良いのだが早朝から非常に蒸し暑い。前日はまだ強かった台風の風も嘘のように静まっている。キャンプ場の西の谷もこの季節はほとんど音もなく、早朝ヤブキリの醸し出すいささかやかましい静けさの中で谷向こうで鳴くコジュケイを一度聞いただけ。空気は澄み切って空は青く見目良い雲も楽し気に浮かんでいるのだが、なんだか妙に活気のない天気だ。写真に撮ってもそうなのだが、なにがとうなっているのか良く分からない。夏の長雨でずっと店番をしていた晴れの日用の雲を、もったいないからとショーウィンドウから引っ張り出して埃を払い空に並べたという感じである。雲自体がすっかり色褪せてしまって輝きを失っているような気もする。それにしても、暑い。
Sample.mp3 3分57秒、4.52MB まだ午前7時を少し回った時刻なのだが、すでに気温は32℃。谷の向こう側で鳴いていたコジュケイもまもなくどこかへ行ってしまった。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
谷の道を散歩していたら何やら白っぽい飛翔体。最初は蛾かと思ったが、よく見るとイシガケチョウである。多分目にするのはこれが初めて、というか見た記憶がない。幼虫のエサになるイヌビワはどこにでも生えていて、今ごろはイチジクの小型版のような実(?)を付けている。6月ころには4本の角のある小さな幼虫が取り付いているのを良く見かけるが、どういう訳かしばらくすると全く見かけなくなってしまう。鳥にでも食われてしまうのかも知れない。ほとんど色彩がなく羽を広げたままとまるので、一見蛾のような雰囲気だが、飛び方は蝶そのものという感じである。
▲UP 過ぎ去った時からへ HOMEへ