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 日常のありふれた音の記録です
2017年5月
2017年5月27日 少し遅く目が覚めたので、ふと思い直して近くのサギの営巣地へ出かけてみる。前日所用の帰りに通りかかったら、珍しく撮影をしているお年寄りを見掛けた。月に1〜2回は通るが撮影している人を見たのは初めてだ。小さな水路が並行して流れている対岸の細長い林に5種類のサギ、カワウ、オオヨシキリなどが巣食っていて現在繁殖期でなかなかやかましい。この時期にしてはなぜか気温が低く風もあるので日向にいても寒いくらいの天気だが、早朝にも関わらず幾人もの人が足早に道を通り過ぎる。堤防の斜面の中ほどにセットして録音を始めたら、30分ほどで堤防の草刈りの業者がやって来て作業を始めたのでキャンプ場の西の谷へ移動。休日のせいか天候のせいかは分らないが騒音が少なく異様なほど静か。いつもこうだといいのだけれど。でも風が強く10時を過ぎてもまだ肌寒い。
Sample1.mp3 3分4秒、3.52MB 堤防の斜面の中ほどにセット。巣食っている生物は音ほど怪しいわけでもない。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
Sample2.mp3 3分27秒、3.95MB キャンプ場の西の谷で。後半のポツリポツリという小さな音は、雨ではなくカラスノエンドウの実の弾ける音。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
この谷の竹藪の一つは昨年花が咲いて結実しているが、葉が新しく出てきたのか枯れ残ったのか、僅かな葉でまだ細々と生き永らえている。普通は花が咲くとすっぱりと枯れてしまうのだが、この先どうなっていくのか。もっと一斉に枯れてしまった竹藪も数年するとまた新しく竹が生えてくるらしい。竹藪自体は放っておくとどんどん広がっていって、実際にも竹藪は増えているのだが、考えてみると何だか変である。どこかで自滅しているのかもしれない。50年から100年単位で見ていれば何かわかるかも知れないが、今の時代でもそんなに長く放置されているところは近くには見当たらない。密生していた竹藪が自然に消滅して他の木々に置き換わってしまった所もあるにはあるが、ごく狭い範囲なのであまり参考にはならない。本当のところどうなるのだろう。

2017年5月21日 5月だというのに今年のキャンプ場は異様なほどに静かである。単に閑散としているというのではなく、何かの悪い呪いでもかかった場所のように、生き物が忌避しているというような妙な違和感を感じる静けさである。いつもの年なら大量に発生する桜の木の毛虫も今年はほとんど見当たらない。音そのものも落ち着いていられないようなよそよそしい響きがある。環境も例年とは何も変わりがないように見えるが、なぜだかよく分からない。しばらくぶりにキャンプ場の西の谷へ。こちらも大して変わりはないのだが、少なくともよそよそしい響きはない。昨日は草ボウボウだった平らな空き地はいつの間にかきれいに刈られている。ブルドーザーで地面を削っていくというこの草刈りの方法はなかなか豪快。他の場所はもうしばらく雑草が繁るのを楽しめそうだ。昼近くなると気温も上がり、ハルゼミがもの憂げに鳴きはじめた。
Sample.mp3 6分18秒、7.20MB 毎年変わらぬもの憂げな晩春の音。早朝は肌寒いが、昼近くなると汗ばむくらいになる。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
環境によって音は変わる。ごく当たり前のことなのだが、あまりにも日常的なことなので普段は取り立てて意識することもない。それでもマイクを担いで歩き回っていると、時としてその変化の大きさがはっきりと感じられることがある。数百メートル離れた山並みや地面の起伏、地面の傾斜、近くの地形、樹木や草の状態などによってめまぐるとく変化する。あとで聞き直して現場では気がつかなかった音の違いに驚かされることもある。自らは音を発しない音響空間そのものの音である。環境音というと、音を発しているもの自体に興味を捕らわれがちなのだが、こうした空間の音を楽しむのもまた面白い。

2017年5月14日 朝起きると日の出前の屋外は一面真っ白。10m先もまともに見えない。いわくありげな霧の休日、ミスティ・ホリディー。といっても見た目がいいだけで、特にメリットがあるわけでもない。午後からは風も出そう。ただ通行する車は異様に少なく静かな朝だ。行き先はいつもの場所だが、4月の初旬に比べると上の池から中の池へ、さらに下の池へと音がだんだん移動してきている。ずっと1ヶ月以上同じ場所に留まっているものもあるが、そうでないものもある。その辺のことはボクにはよく分からない。取りあえず下の池の辺りにセッティング。でも騒音は多いし音も少ない。霧の休日、特段お得な天気でもないようだ。
Sample.mp3 2分06秒、2.40MB あまり人影を気にせず騒がしくはしゃぎ回るカイツブリ。でもいつも騒いでいるというわけではない。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
春の録音の大敵の一つはウグイスの声。遠くで鳴いている分にはきれいな声なのだが、間近で聞く声はすさまじい。嬌声なんで穏やかなものではなく、吠え猛るという感じで、しかも悪声である。こういうのがマイクに異常接近したりするとたちまちレベルオーバー。とてもリミッターなんかでは間に合わない。録音中にむやみにレベルを変更できないので、間近で鳴きはじめると大変だ。夜中にとつぜん鳴りだした止め方の分らない目覚まし時計、駄々をこねて泣きわめき始めた手の付けられない悪ガキ、という感じでどうしようもなくウロウロするばかりである。20dB程度の余裕なんかたちまちぶっ飛んでしまう。でも近くで聞いてきれいな声ではなかなか遠くまでは届かない。通りの良い声、遠達性の良いの声なんて大体こんなものなのかな。そういえばオイラのスピーカーも・・・・・。

2017年5月7日 弁当持ってのんびり一日というのは大失敗だった。空は陰鬱な曇り空、風は冷たく、しかも強い。それに下の池の藤の花もまだ開いてはいない。音もないので、いい加減うんざりして昼過ぎには引き上げる。6日はやはり曇り空だが風はない。到着したときから何か印象が違う。どういう訳かそこそこにぎやか。この辺りの理由はボクにはサッパリ分らない。翌7日も出掛けたが風が少し出てきた。やはりこういう日はつまらない。1時間ほどで引き返して、一番下の池の堤防の端っこの藤の下に陣取る。暖かくなってクマバチが飛び始めるが、残念ながら下の方に花は咲いていない。それでも昼前までがんばって引き上げる。どこかへ出掛けるでもなく平々凡々に過ぎてしまった一週間。しょせん世間並みのゴールデンウィーク、なんてものはオイラには無縁なのでゴザイマス。
Sample1.mp3 3分10秒、3.63MB 5月6日、曇り空にしてはそこそこにぎやかな朝だ。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
Sample2.mp3 3分23秒、3.88MB 5月7日、いつもは早朝に山の上の方でときおり鳴くだけのアオバトが、なぜか昼近くに何度も鳴いている。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
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