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 日常のありふれた音の記録です
2015年8月
2015年8月18日 今年はなんだかイヤな夏である。大気からジじわじわと滲み出すねとつく熱気と、晴れ渡ることのない陰鬱な空。膿汁を孕んだような不透明な空気の色。いつ頃からこんな世界に迷い込んでしまったのだろう。本当の夏ってどこか別の所にあるんじゃないか、とつい本気で考えてしまう。不満満載の夏、できればもう一度初夏からやり直してみたい気がする。そんなモンクを言っているうちに突如気温低下。うっとうしい天気は相変わらずだが、辺りはまるで秋の様相になった。時間が取れたりので出かけてみたものの、音もすっかり9月の音。鳴き残ったセミの声ばかりである。
Sample.mp3 2分52秒、3.58MB 聞こえるのはセミの声ばかり。まるで突然9月がやって来たみたいだ。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
12cmフルレンジユニット用U字型共鳴管。その後も暇があれば音出ししているが、やはり共鳴管としての限度を超えてしまったという感じである。基本共鳴周波数ではあまり大きな変化はないのだが、3倍以上の周波数の共鳴は激減。開口部に頭を突っ込んでもほとんど聞こえなくなった。吸音材は不要、というよりむやみに使うとむしろデメリットが出てくる。ただ困るのは3倍の周波数の共鳴が弱くなり、基本共鳴周波数のピークも鋭くなるので、80Hz〜180Hz辺りが広範囲に落ち込んでしまうこと。この傾向は大口径ユニットを使っても、あるいは長大なJ字型共鳴管でも変わらないと思うが、やってみないと分らない。この辺がU字型共鳴管の限界かなという気もする。あとはホーンロードをかけるしかないが、補強を兼ねて音道を分割すればある程度改善されるかもしれない。

2015年8月15日 近所で催されるわずか30分にも満たない小さな花火。毎年お盆にあるのだが、今年も忘れていて猫の散歩に出ていたら始まったので、慌ててマイクを取りに帰って録音。距離は80mくらい。打ち上げ地点と観客の位置が同じになるので意外と厳しい。以前花火にレベルを合わせてMDで録音したら、観客の声は距離感も音場も何もないモノーラル同然のお団子になってしまった。その点では24bitのメモリーレコーダーはかなり有利だ。手持ちの花火が主で、打ち上げ花火はごく少数。レベルの設定は確認しながらというわけにはいかない。最初にかなり余裕をみて設定したが、一か所だけ左の画像のように爆発の最初のピークの先端が真っ平らになってしまった。でもこの程度では音を聞いてもまったく分からない。今年の夏は西から凶悪猫が伸してきている。わが家の極悪猫はまたケガをして病院へ。おかげで13日に予定していた花火には行けなかった。でも猫の散歩をしていて気が付いたのだが、この花火の音は打ち上げ地点から20kmの距離を超えてこの辺りまでやって来るのである。かすかな音ではなくそこそこの音量はある。20km先の雷だったら全く聞こえない。花火そのものは山に遮られて見えないが、東の空が明るくなるのが分る。ただ1分近いタイムラグがあるので、山越しに見える花火の光とはまるで合わない。どこか近くの山の上から録音すれば意外とイケるかも。
Sample.mp3 3分34秒、4.08MB 冗長になるので途中2ヶ所をカットして収録。小型マイク"Slivikin"とPCM-M10で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
12cmフルレンジユニット用のエンクロージャーはお盆の一日の午後をつぶして突貫工事で組み立て完了。翌日に白木のままユニットを取り付けて鳴らしてみる。非常に困惑する事態である。少なくとも致命的な”大失敗”ではないらしい。こういう中途半端なのが一番困るのである。ただちに破壊本能を発揮して木っ端みじんに打ち砕き燃えるゴミに・・・といううれしい予定は急きょ変更。しばらく様子を見ることにした。最初はいかにも常軌を逸した異様な音だったが変化は意外に早く、1時間、2時間と経つうちに共鳴管特有のごく普通の異様極まりない音になった。吸音材はゼロでも耳に付く共鳴はほとんどない。音道の断面積の変化による影響は予想外に大きいようだ。このまま1、2週間鳴らし込んでみることにしよう。それにしても奥行630mmというのは少々持て余しぎみ。せいぜいラックの奥行程度に抑えたほうがよさそうだ。

2015年8月9日 あいかわらす毒暑が続いている。大気から滲み出し滴り落ちる黒い熱気、薄曇りの空から包み込むように照りつける病んだ陽光、澱んだ空気は毒を孕み有害だ。今年も夕立はまだ1回のみ。なんとなく空がそれらしい雰囲気にはなるが、なかなかやってはこない。もっともそれはこの辺りだけの事らしい。陰鬱な夏、このまま秋まで続くのか。夏らしい夏、夏が終わらないうちにやって来ないかな。8日、9日と出かけてみたがあまり面白い音にも巡り会わない。
Sample.mp3 3分38秒、4.16MB 8月9日。15m前は山裾を上る道路。わずか3分半の間に3機の航空機と2台の車が通り過ぎる。でも大抵はこんなもの。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)

2015年8月5日 相変わらず暑い日が続いている。大気はいよいよ白く澱んで視界がきかず、午後ともなると熱気は天然のオーブン状態。典型的な8月の一日である。キャンプ場へ出かけるとめずらしくキャンプ客が一組。しかたがないので一番上まで上がって谷川沿いで録っていたが、セミの声もまばらでほとんど音のない状態。9時過ぎにキャンプ場の入り口の林の前に移動。でもここもあまり変わり映えはしない。10時過ぎには引き上げる。なんだか濃密な靄とまとわりつく熱気の中を泳いでいるような一日だ。
Sample.mp3 3分49秒、4.38MB キャンプ場に来ていた子供たちが、どこかへサイクリングに出かけていく。空気の密度が高くなったような重苦しい飛行機の音。いかにも夏休みといった夏の朝だ。小型マイク"Kalivan"とPCM-M10で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
出かけた先で時間が余ったのでふと入った近くの100円ショップ。入るとすぐに面白いものが目に入った。スマホ自撮用モノポッド。税込み324円。これは使えそう、というので早速2個購入。小型マイク用に使っている三脚はローアングルセッティングができるコンパクトカメラ用。小型で軽量なので持ち歩くのには便利でいいのだが、ひとつ困ったことがある。伸長が845mmと低め。安定を良くするために開脚度を大きくするとさらに低くなって、ほぼ人間が地面に座った時の耳の高さになる。これはこれで意味があるのでいいのだが、状況によってはもう少し高めにセットしたいこともある。そういう時の延長ロッドとして使いたい。モノポッドはモノポッド本体とスマホ用ホルダーに分かれていて、モノポッド本体の縮長は205mm、伸長845mm、重量は85gと軽量。プラスティック製の部品が多いが、わりとしっかりした構造である。上端には簡易な雲台があり、下端には1/4のネジ穴が開いているので、スマホ用ホルダーと組み合わせればマイク用と限らず色々な用途に使えそうだ。一見簡単そうなものだが、これが自作となるとなかなか大変。とてもこの値段では作れない。ただプラスティックの部品が多いので強度的にはそれほど強くはないし、三脚に取り付けると雲台にも無理がかかる。あまり無茶な使い方は禁物だ。とくに風の日は要注意、転倒や破損の恐れもある。マイクを取り付けたまま持ち運ぶのもきわめて危険。本当は三脚の雲台が取り外しできるので、ここに丈夫な延長ロッドを入れた方がいいのだが、移動中に雲台が外れたりするのは致命的、ということで固定してしまっているので採用しなかった。あと心配なのは耐久性だが、これは使ってみるしかないようだ。散々にコキ使って壊れたら取り替える。使ってナンボの品なのである。

2015年8月1日 岡山市花火大会、17:30〜20:30、4000発、は昨年と同じ。今年はもう少しエコーの多い所で録ってみようと地図を眺めていたのだが適当な場所が見当たらない。視点を自由に選べる高解像度の立体地図でもあればなんとかなるかもしれないが、航空写真ではちょっと無理。とにかく出かけてみることにした。どういう場所にセットするが分らないので、ヘッドではなく小型マイクをワンセットだけの軽装備。・・・で、結局たどり着いたのは道路を隔てて県庁の北側にある図書館の芝生。打ち上げ地点から北へ約450mほど。県庁の建物に遮られて低い花火は見えないし、セットした場所からは樹木に遮られて全く見えない。それでも観客がチラホラやって来るのはちょっと不思議。いったい何しに来るんだか。
Sample.mp3 4分00秒、4.58MB 打ち上げが始まって間もないころ。セミがまだ鳴き残っている。小型マイク"Kalivan"とPCM-M10で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
マイクの出力はレコーダーのLINE入力に入れ、最初の10発くらいでレベルをセット。しかしすぐにレベルオーバーになってレベルを下げることになった。エコーはまあまあといったところで特に面白くもないが、不思議なのは爆発音に1秒ほど遅れて右から帰って来る「お゛ぅ、お゛ぅ」という音。こういう音は何度か経験しているが原因はよく分からない。なにか溝のような構造物で発生する閉管共鳴が関係しているようだ。花火のような音源でもない限り普段耳にすることはないので確かめようがない。打ち上げが始まって20分ほどすると後ろの道を通る通行人が激増。いつものことだかこれもちょっと不思議ではある。距離があるので花火は少しくぐもった音だ。終了の10分前には片づけて早めに引き上げる。途中音を聞きながら歩いていると、どこから花火が聞こえてくるのか分らないほどエコーの豊かな場所があってなかなか面白そうだ。当然のことだが花火はまったく見えない。来年試してみるかな。
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