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 日常のありふれた音の記録です
2014年8月
2014年8月30 月末に至って天気も何とか回復。明日の事は知れないが少しは夏らしい気分になった。とはいえ真夏日なんて景気のいいものはもう到底望めない。湿気で燻ぶる夏の残り火、というよりも黴の生えた残り物の夏を冷蔵庫から引っぱり出してきた感じ。朝夕は涼しくすでに秋の気配である。今年はホントのホンモノの真夏日ってたった一日だけだった。すっかり全滅状態になってしまったオイラの夏、この始末いったいどうしてくれるんです。
キャンプ場へ出掛けてみたが予想通りすでに初秋の兆候、毎年この時節音は少ない。なにか面白いものはないかと、騒音の多い道路を避けて細い山道を登り南側の平野に出る。考えてみるとこの辺りで録音したことは今までほとんどない。どうせ無駄足と思いながらうろつきまわっていると、山にはさまれたちょっとした低い丘のような場所を超えた池の畔、なにやら怪しげな鳥の声がする。南は大きな道路がなく、北は民家で遮られるので騒音も少ない。せっかくだからと昼前まで1時間ほど録音。明日も来てみるかな。
Sample.mp3 2分08秒、2.45MB 上の画像の右端から5m位の地点で録音。前方は池だが何やら騒がしい。岸の斜面に生えた木の枝に何やら鳥がたむろしているようだ。サギの仲間のようだが時間がないので何なのか確認できなかった。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
セミの声を録音してみたい、と毎年思っているのだがなかなか果たせない。今年も時間が取れれば出かけているが、成果はほとんどゼロ。セミの声って録音して聞いてみると分るが、単調な繰り返しのノイズである。現場で聞いている分にはそうでもないが、録音して音だけになってしまうと意外と退屈。たぶん視覚や臭覚、触覚といった他の感覚もあるからだろう。山がひっくりかえるような合唱はともかく、ランダムに鳴いている分には、数が多くてほとんどノイズ同然といったものより、数が少ない方がむしろ変化があって面白い。遠近の差があればなおよし。それでも主役に仕立て上げるのは並大抵ではない。優秀な脇役が必要?。でもそんなことをしているとだんだん人工的になってくる。やっぱり退屈でも自然のままがいいのかも。

2014年8月13日 実は前日に間違って出かけてしまった。何度も予定を確認していたが、なぜか12日と思い込んでしまったらしい。出掛けるときに何だかいやな予感がした。電車に乗るとイヤに人が少ない。目的地の駅のホームはがら空き、駅前は明かりもなく閑散とした状態で、これはいよいよ変。駅から出て案内を確認するに至ってようやくしぶしぶ納得した。オイラはバカです。でもせっかく来たのだからと一回り歩いてロケーションを確認。湾の東側はすぐ南にある島へ渡る橋が建設中。西側へ回り込んで海岸と道路を隔てる私有地が途切れるあたりに決める。エコーは期待できないが見晴らしはまずまず、たぶん人もあまり来ないだろう。
翌13日の19:12に日生着。今回は混雑を予想してヘッドではなく小型マイクをワンセット持参。スシ詰め状態のホームを脱出すると早速帰りの切符をゲット。そのまま湾の西側へ回り込んでいく。途中の私有地も空き地などが半ば解放状態になっている。ところが現場へたどり着いて唖然とした。海岸に接する道路の両側には透き間なく人の列。とてもじゃないが割り込む余地はない。行き着く所まで行ってみたがまず無理だ。しかたがないので引き返して、山が道路に迫っている場所で、道路脇の排水溝と山の斜面の間に陣取ることにする。道路の東は護岸の石積を隔ててすぐ海。道路の両側には見物客。道路西の排水溝と傾斜80度の山の斜面の間のわずか30cmほどのスペースである。ただし視界は文句なし。マイクは三脚の足を1本縮めて斜面にもたせかけるようにセット。ちょうど斜面を背中に腰を下ろして聞いている格好である。道路の海岸側にはカメラが15〜16台。カメラマンが10人ほど列をなしている。祭りの明かりがバックに入るので人気のある撮影ポジションのようだ。でもこちらはカメラの三脚を立てるスペースもない。一脚で手持ち撮影のまずい状態になってしまった。あとで考えたら後ろの斜面に立てればよかったかも。
Sample.mp3 1分49秒、2.09MB 左前方のエコーはたぶん建物と山、右前方のエコーは山から、右からプチプチと返ってくるのは何だか分らない。変な音だ。後ろはすぐ山の斜面なのでエコーはゼロ。スッキリ・サッパリでこれも悪くはないがちょっと味気ない。小型マイク"Kalivan"とPCM-M10で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
 
途中フェリーの入港に合わせて25分ほどの休憩をはさみ、20:00〜21:15、2000発。マイクはレコーダーのLINE入力に入れ、打ち上げが始まるとレベルをセット。しかしこれは後でクリップし始めてもう少しレベルを下げることになった。打ち上げ地点は海上で、距離は250m〜300mくらい。マイクの耐入力がいつもより10dB低いので心配だったが、なんとかなりそうだ。距離が300m近くあるが、海上で障害物もないのであまり軽くはなくダイレクトで強烈な音。高い位置から直接に届くので、周りの環境の影響は少ないような気がするが、場所によってずいぶん音は違う。周りは花火を楽しむ人ばかりなので雰囲気はいいが、始まって間もないころから短い休息の度に「もう終わったの?」と何度も声が上るのにはちょっと興ざめ。そんなに早く終わってたまるか。08:30に休息に入り、フェリーの入港・出港のあと21:00前に再開。しかし駅から遠いので早めに引き上げないと間に合わない。21:05ごろに切り上げて駅に向かう。途中良さそうな場所はないかと音を聞きながら歩いたが、エコーはほとんど建物から返ってくるので、エコーの豊かな場所は見通しが悪く花火はほとんど見えない。見ると聞くを両立するのは難しそう。駅に着くと予想通り改札口は満杯で、ホームはスシ詰め状態。列車もスシ詰め状態で22:17最寄りの駅に到着。わが家では極悪猫が夜の散歩を待ちかねている。今日は地獄だな。

2014年8月8日 台風11号が接近中。とはいえまだ比較的穏やかな曇り日。キャンプ場の西の谷へ出かける。数日来の雨で谷川の水が増えているだろうと思ったらそうでもなく、相変わらずの細々した流れ。道のそばには何やら怪しげなものが落ちている。薄茶色の糞状物体。まだホヤホヤで蠅が山のように集っている。色や内容物からして飼い犬の糞のようだ。それをなるべく避けて谷川が道に近づいているところにセットして録音開始。すぐ下は水が溜まって小さな池のようになっている。1時間半ほどたったころ女の子が自転車に乗ってやって来た。この先は実質行き止まり。いったい何なのかと思ったら、ここで唯一つの畑に入っていく。家族で休日の家庭菜園、その先兵である。せっかくの楽しみのお邪魔をするのも悪いので、池の下の放流口の方へ移動。こちらは水量が増えているがセミの声は少々まばら。1時間余り録って引き上げる。昼前からは雨。わが家の極悪猫は散歩に出られず不満顔だ。翌朝あまり帰りが遅いので、小降りになった時に探しに出たら、案の定近くの納屋の屋根の下で足止めを食らっていた。
Sample.mp3 1分17秒、1.48MB 画像の放流口の位置ではなく、池の上の谷川沿いの道で録音。MP3の欠点が出て、流れの音がシュワシュワになってしまった。周りを飛び回っているハエがどこからやって来たのかは、ここでは明らかにしないでおこう。人工ヘッド"Pelias"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
夏といえば冷たい麺類。冷やうどん、冷麦、素麺、ザルそば、冷やし中華。どれもおいしそうだが、わが家では冷麦がメイン。でも困るのが麺つゆである。どうしても甘いのが苦手。ザルそばなんかそのままでは甘くてとても食べられない。最初は市販のつゆを使っていたが、だんだん耐えられなくなってより辛口の刺身醤油に変えた。でもこれも耐えられなくなって、さらに辛口のだし醤油に変更。今はこれにも耐えられなくなりつつある。次はいよいよ自作?。それじゃ辛口人間なのかというと、そんなことは全くなく甘いものは大好き。何だか変だ。そういえば長岡さんもそうだった。食は辛口一辺倒。辛口の日本酒がないと常々嘆いておられたが、それとは別に甘いものもお好き。考えてみるとどうも幼少時の食習慣が大きく影響しているようだ。人間、辛口人間とか甘口人間とか簡単には決めつけられない。

2014年8月2日 7月も終わりに近いある日、朝出かけると何やら辺りの様子が違う。澄んだ大気に鮮烈な日差し。すべてが色鮮やかに見える。青い空の端々には見目良い入道雲。セミの声は大気を占領して山の隅々にまで轟きわたる。めっちゃあつい。まさに待ち望んでいだ真夏日である。でも、うれしやと喜んだのもその日限りだった。台風の接近であっという間に雨模様。気温が高い分梅雨よりもっと始末が悪い。そんな中で本日も朝から雨。これはダメかなと思っていたが、夕方には止んで出かけることができた。19:30〜20:30、約1時間4000発。今回は正面を避けて、少し奥から録ってみようと航空写真で調べる。ところが近くには適当な場所がなかなか見当たらない。城跡辺りまで退けば場所はあるが、少し遠くなるし人も多い。何とか見つけたのが、打ち上げ場所から220mほど離れた、周りを高い建物に囲まれた小さな公園、というよりは子供の遊び場。50mも歩けばすぐに人の多い堤防の道に出る。あまりに近すぎるし狭すぎる。
Sample.mp3 2分06秒、2.41MB 打ち上げ地点まで約220mと近いのでかなりの音圧。さらに河川敷の端まで行くと100m位の距離になり、胸がつぶれるようなショックがある。パソコンのヘッドフォン出力では実際に近い音圧の再現は難しい。高出力のヘッドフォンアンプと高能率・高耐入力のヘッドフォンが必要かも。人工ヘッド"Solomon"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
 
19:00頃に現場に到着。東の打ち上げ場所に向かって右手と後ろの建物が思ったより高いのに驚く。左側も3階建てと4階建てのアパートかマンションらしきもの。前方にも4〜5階建てのビルがあり、その向こうが堤防。マイクは観客の邪魔にならないよう公園の北西の端近くに置き、レコーダーのLINE入力に入れる。打ち上げが始まって1〜2分でレベルを調整して録音開始。案の定エコーは短くシャンシャンした音。花火も半分ほども見えない。まあこれで行くしかない。いつも思うのだが、間近で聞く花火の音って強烈だが、重々しくはなくむしろ軽々しい軽薄とも言える音。ふしゅっ、ふしゃっ、ふしゅっ。ぺんぺんぺん、ぺぺぺぺぺぺぺぺぺーん。ぼしゅぼしゅぼしゅ、ぼしゅっ。ぱん、ぱぱぱぱぱぱん、すっばぁーーん。ぺちぺちぺちぺちぺちぺち。文字にするといよいよ軽薄そうになってしまう。映画の戦闘シーンの火器の音なんかもたいていは重々しいが、自衛隊の演習風景の録音を聞くともっと軽々しい、しかし本物の破壊力のある壮絶な音である。戦争経験者が戦闘状態を表わすドンパチという言葉がなんとなく分るような気がする。ずっと平和で穏やかな花火の音。それでも再現は難しい。
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