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 日常のありふれた音の記録です
2008年5月
2008年5月27日 所用に追われ10時をだいぶ回ってから出掛ける。場所はお手軽にいつもの円張川。何だか今年は春になってから雨が多いような気がする。川の流れがこのところ途切れることがない。道から20mほど竹薮の中の道を下って、わりと水量の多い部分の岸にマイクを置き、そのまま同じ場所で3時間ほど続けて録音。藪の地面は水面から2mほどの高さである。昼近くなると気温は暑いくらいになり、ハルゼミが思い出したように物憂げに鳴き出す。のどかな晩春のお昼時。でもこの時刻ではさすがに音は少ない。幸せのどん底に落ち込んだような生温く怠惰な季節。いつまでも続いてほしいけれど、でももうすぐ夏なんだな。
Sample.mp3 1分22秒 1.57MB 長い単調な時の中の、そのまた退屈な一瞬。なせか気が付くと、もう少し音の多い時間帯に録ったディスクのデーターは10分足らずしか残っていなかった。もしかしてパソコンにあらぬ敵意を示す我が家の極悪猫のせい?。小型マイク"Elk"とHi-MDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
近頃スピーカーの音が鼻につくようになった。何時ごろからなのかはよく分からない。数ヶ月前か、それと半年前からなのか。確かに一年前とは何だか音が違うような気がする。ふと思いついてCDプレーヤーとアンプをつなぐケーブルを交換してみた。去年の春に作って没になっていたもので、長さは25cmほど。音がかなり変わってしまった。今回はこちらが良。どうも長い時間をかけて性質が少しずつ変化しているようだ。ただ当初の癖はまだ残っている。そこでまたケーブルを作ってみたくなった。適当なものを見繕って買ってきた方がはるかに安上がり?。でもヒネクレ者でケチのボクにはそれができないのである。そして燃えないゴミがまた増える。

2008年5月22日 しばらく出掛けられないでいるうちに、いつのまにか5月も残りあと僅かということになってしまった。まことに残念至極。本日は午前中に時間が空いているので、無理やり5時前に起き出していつもの場所へ出掛ける。ただお日様はすっかり高くなって、気温も鋭意上昇中。寝ぼけ眼で地面を這い回っているのはオイラだけだ。もう少し早く起きにゃイカンのである。僅かばかりの流れのある谷川の中にセットしてそのまま昼前まで録ってみたが、残念ながらあまり面白いシーンにも出会わなかったようだ。せっかくのすばらしい季節、梅雨入りまでは精一杯楽しんでみたい。今月はあと一回くらい出掛けられるといいのだけれど。
Sample.mp3 1分42秒 1.95MB 録音した時間の半分以上は無音。後の大半はウグイスの声ばかり。ウグイスの声もこの季節には騒音扱いである。人工ヘッド"Alqays"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
Hi−MDをHiSPモードで連続長時間録音。WAVに変換すると複数のファイルに分かれるのでは、という予想に反して4.69GBの単一のファイルになった。そのままでは4.7GBのDVD−Rに書き込めない。そこで適当に分割しようと編集ソフトに読み込んだのだが、なんだか・・・変。データサイズ64bitの下位32ビット分しか音声データを読み込まないのである。他の編集ソフトでも試してみたがやはり同じ。どうもHi−MDのソフトのWAV変換機能に問題がありそうだ。ヘッダーを調べれば原因はすぐに分かるのだが、あいにく巨大ファイルを扱えるファイルダンプソフトが手元にない。というわけでしばらくお預けの状態。こりゃ困ったな。

2008年5月6日 広い密閉空間。豊富な残響やエコー。というのは音的にはなかなか魅力がある。しかし実際はそんなに単純ではないようだ。200t位の水槽というのは体験したことがある。壁面はつるつるの状態。残響は恐ろしく長く、1mも離れると話しさえまともにできないほど。空間にぎっしり音が充満するという感じで、方向もなければ距離感もない。予想外につまらない音である。身近なところでは古い鉄筋コンクリートのビルの階段とかトンネルがある。空間は一方向伸びるが、これもわりと単純であまり面白くはない。ところで新見市周辺は石灰岩地帯で大小いくつもの洞窟が散在している。大きなものは観光地になっているので、立ち止まってゆっくり録音なんてしていられない。小規模で安全そうなところを見繕って出かけてみた。JR備中高梁駅から備北バスに乗り換えて45分、終点の呰部で下車。井弥の穴というのが目的地だが、怪しげな地図を頼りに探し回り、道を間違って引き返したりした挙句、最初にたどり着いたのは諏訪の穴。これは階段を上り赤い鉄の橋を渡って中に入ると、奥に縦長の穴が2つあって真ん中に立ち入り禁止の看板。片方の穴から流れ出る水は豊富で、日本の音風景百選に選ばれているが、肝心の水車はくたびれて休息中。それに水の音なんてどこでも似たようなものだ。そこから川沿いに少し上ると道端の草の中に下諏訪と書かれた柱と小さな洞窟の入り口。狭い通路を背を屈めて進むと中は木造アパート六畳一間バス・トイレなしという感じだ。地面は長年多くの人が出入りしたらしく踏み固められている。一箇所ボコッと穴が開いているのはご愛嬌。細い穴が幾つかさらに奥に続いていて、雨季には水が出るらしく入り口に排水桝がある。あとで気づいたのだが、排水桝の前には立ち入り禁止を示すらしいトラロープが草に埋もれていた。
Sample.mp3 1分38秒 1.87MB 木枠のガラス窓が地震でガタガタ振動しているような怪態な音。蝙蝠の羽ばたきのようだが正体は不明。現場ではガタガタという音とともに超低域の風圧のようなものをかすかに感じる。人工ヘッド"Alqays"とPCM-D50で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
そもそもの目的の井弥の穴の方はいったいどこなのか、というとあちこち探し回ったのだがこれが一向に分からない。地元の人に尋ねると何とバス停の真向かいとのこと。気が付かなかった。こちらは道路に大きな看板が出ているが、橋を渡って行ってみると立ち入り禁止・危険のバリケード。成長の止まった古くから人の出入りしている洞窟なので危険はないはず、なのだが最近は訪ねる人もほとんどいないので、単独で入って事故でもあっては、ということなのだろう。仕方がないので石仏の並んだ入り口付近だけお邪魔する。奥行きは80mくらいあるが、天井が低く狭くなって、どのみち気軽には入れない。ごく小さな洞窟だが、3箇所訪ねてみての感想は音響的に意外とデッドであること。手を叩いたり声を出したりしてみたが、フラッターやエコーが返ってこない。普通の住宅と比べてもむしろデットである。聴感ではほとんど癖がなくフラットな感じで、湿気さえなければコンクリートの壁と防音ドアでもつけてリスニングルームにしてみたいところだ。壁面の音の反射率は高いはずだが、平行面がない複雑な地形で拡散消滅してしまうのだろう。密閉気味のもっと大きなのっぺらぼうの洞窟だとまた違ってくるかもしれない。わりと身近な存在なので、そのうち適当な場所でも探してみよう。ただしこういう洞窟に無闇に一人で入り込むのは大変危険である。つい最近も行方不明になったままの人が出ている。
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