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 日常のありふれた音の記録です
2007年4月
2007年4月23日 朝から晴れるはずだったが、起きてみると陰鬱な曇り空。夜中に降り続いた雨の跡がまだ残っている。取りあえず円張川沿いに上ってみたが、あまり期待できそうもない雰囲気。引き返して、またいつものキャンプ場へ。桜はほとんど散ってしまい、残っているのは濃いピンク色の八重桜だけ。かえって重苦しさを引き立てるようで、鉛色の空には似合わない。今日は谷川沿いで録音。10時過ぎにタラの芽を取りに老夫婦がやってくる。2時間半ほど録音して昼前に帰宅。正午を過ぎると天気は一変して晴れになった。天気予報のようにクルクルとよく変わる天気だ。
午後からは監禁猫のお相手。放って置いたら妙な声を出して隣家のツバメを狙い始めたので、あわてて連れ帰った。猫は諦めて庭でモグラタタキ。地面はモクモクと動いているが、でもこれ、ちっとも顔を出さないんだな。猫も不満顔だ。夕方に少し散歩に出したら、今度は向こうからやってきたおとなしそうな白犬に喧嘩をふっかけ始めた。よそ様の犬をいじめたりしてはいけない。大急ぎで止めると今度はワンと鳴いてからかっている。我が家の極悪猫、なかなかに性悪である。
Sample.mp3 1分31秒 1.73MB 相変わらずの平凡きわまる春の音風景。せめてもう少し早起きしなくてはいけない・・・ノダ。小型マイク"Esrit"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
ハイビットレート、ハイサンプリングレートの録音機の普及。それ自体は極めて歓迎すべきことである。しかし他の事情を考えると、そう喜んでばかりいられない現実がある。まず最終的に定着するポピュラーなフォーマットがないこと。DVDオーディオはマイナー、SACDもあまり一般的とはいえない。パソコンの音声ファイルなら誰にでも扱えるが、それを生かす再生環境を整えるのとなると結構大変だ。その前に録音側の問題もある。超高域を十分に収録できるマイクが少ないこと。50kHz程度でもごく少数、100kHzとなるとほとんど特殊である。機器のノイズとマイクの耐入力も大きな制約になる。録音フォーマットのダイナミックレンジだけ広くても、実際にはこの二つでかなり制限されてしまう。デジタル録音されたソースの無音部でノイズが聞こえるのはごく普通のことだ。そもそも再生側で本当に24bitも必要としているのかという疑問もあるし、録音側から見れば16bitとの差はわずか8bitということもある。同じ24bitでも有効ビットを16bit程度に抑えてあとは指数部に回し、浮動小数点フォーマットにするという手もある。こちらの方がダイナミックレンジははるかに広く取れて、微小レベルでの劣化がない。そんなことを言うと事態はますますややこしくなる。すべてがチグハグで足並みが揃わないという感じ。環境音などのダイナミックレンジの大きい音源には、録音から再生まで、一般的で一貫した環境が欲しいところだが、当分は叶えられそうもないようだ。

2007年4月9日 昨日に引き続き市営のキャンプ場へ。今日はやや音が少なめだ。平日なのでさすがに人っ子一人いない。歩道と谷川の流れを避けて、少しばかり山の中に入ってマイクをセット。天気が良いわりには遠くの道路からの騒音が大きい。下の集落で行なわれている下水道の工事の音も時おり大きく響いてくる。昨日の花見客の歓待に疲れを召して、桜ははらはらと散り始めているようだ。こういう催しには人間のサクラも必要?。驚いたのは花見の痕跡がきれいさっぱりと拭い去られていること。跡形もない。まれに見る手際の良さである。こんな人たちばかりだと、ヒネクレ者のボクも桜が好きになるかも。
Sample.mp3 1分32秒 1.75MB キャンプ場の入り口からさほど遠くない場所。常にざわざわとした騒音に満ちている。航空機の音は聞こえていない時間の方が少ないくらいだ。小型マイク"Esrit"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
メモリーレコーダー、ハードディスクレコーダーの新機種が相次いで登場している。この四月の後半にもさらに1機種発売の予定だ。はるか昔のナマ録ブームの頃には比べるべくもないが、DATの登場以来のことである。機能的にもしだいに充実してきている。特にありがたいのは、小型の機種でもファンタム電源を装備したものが多くなったこと。手軽にマイクの選択範囲を広げられるのはうれしい。逆にバッテリー駆動の小型のマイクを使うときには、コネクターの関係でかえって荷物がかさ張ることになるのはちょっとどうもといった感じだ。ミニジャックでもあると便利なのだが・・・。ただ不満な点もいくつかある。MDやメモリープレーヤー並みの小型の機種がないこと。消費電力がDATに比べ大きいこと。本格的な圧縮機能を搭載した機種がないこと。とはいえここに至ってボクの悩みはますます大きくなっているのである。数年後には買い換えることを覚悟で導入するか?。う〜む、である。

2007年4月8日 2ヶ月ぶりにやっと外出。8時過ぎからキャンプ場へ出かける。濃霧ということだったが、普通の曇り空に春霞といった感じで意外と見通しはいい。よく見ると山の上の方だけが濃密な霧に覆われていて、そこから先は別の次元にでも吸い込まれてしまったようだ。キャンプ場の前の小さな林は一部が切り払われていて、切り身になった丸太が転がっている。行く末は薪だ。お気に入りの場所の一つだったのでちょっと残念。ま、2〜30年経てばまた生えてくるか・・・。キャンプ場の方は桜が満開で、いかにも春といった雰囲気、ただ音が少し遠い。まずは谷川沿いにマイクをセットして録音開始。すでにどこかの悪童連が夜桜見物でも兼ねてひと騒ぎやらかしたらしく、分別に満ちあふれた痕跡があちこちに散乱している。10時を過ぎた辺りから車が2台やってきた。でも何が気に入らないのかすぐに帰っていく。みんなそうだ。しばらくしてまた3台やって来た。こちらもキャンプ場の端まで上って引き返したので安心していたが、これが意外。途中で車を止め、ぞろぞろ降りてきて花見の支度を始めた。気まぐれに立ち寄ったとは思えない本格的な重装備である。その後も車が何台もたて続けにやって来て、2ヶ所に分かれて大掛かりな花見になった。あわててマイクを移動である。こんなことは最近珍しい。
Sample.mp3 1分36秒 1.84MB 今時そのへんにごろごろ転がっているような春の音。やがて花見の客もごろごろやって来た。小型マイク"Elk"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
昼からは猫の散歩。夜毎の寒気には今ひとつ安心がならない。猫はいま少しの自宅待機である。我が家の猫は心安いペットなどでは断じてない。正体不明のきわめて胡乱な招かれざる同居者である。昨年の夏、ついに正体を現したかと思ったのは愚かな思い違いであった。かぶっている猫は一つだけではなかったのである。むろん普段はその正体を見抜かれるような真似は決してしない。しかし一見無邪気に光る目の奥には時おり狡猾の色が伺える。鳴き声は従順を装いながら、老獪で取引に長けた商人の油断のならない懐柔の響きを宿している。尻尾は時に応じて拷問者の鞭のように抑圧された威嚇を込めて厳しく打ち振られる。足音は徴税請負人の情け容赦のない足音だ。かくしてボクは過酷な猫の要求に従い、連日おもちゃのネズミの操作係を演じているのである。夏・・・、早く来ないかな。

2007年4月3日 午前中極悪猫は再診で病院へ。熱はないが何となく風邪っぽい。家に帰ってもあまり出歩かず、もっぱら日向ぼっこ。本日猫は御不例である。こちらも庭で録音。このところずっとMDのLP2モードで録音しているが、長時間放っておけるというのが理由。ディスクの交換のために録音環境を乱さなくてすむというのは非常にありがたい。考えてみればこのモードでもビットレートは結構大きいのだ。寒の戻りで気温が低いにも関わらず燕は活発に飛び回っている。かっては我が家の玄関にも広い土間があり、毎年燕がやって来ていたものだが、今はそういう環境も少なくなってしまった。それでも毎年どこかに巣作りをしているようだ。
Sample.mp3 1分27秒 1.67MB 午前7時前、寒の戻りで気温は低く曇り空。あらためて聞くと、燕もなかなか饒舌なんだな。LP2モードで。小型マイク"Elk"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
念願の溶接機を購入。交流式アーク溶接機である。もちろんプロ用ではなく、家庭用の小型のもの。重さも19kgと片手で持ち運べる手軽さである。この種ものは以前は結構高価でなかなか手が出せなかったのだが、1年ほど前に1万円を割る良質のものを発見。しかし意を決して買いに走ったときにはすでに売り切れ、現品限りだったのである。さらに待つこと1年余り、やっと入手となった。格安なのは言うまでもない。箱を開けるとプラスチック製の遮光面、ワイアープラシと兼用になったハンマー、そして申し訳程度の溶接棒が入っている。まるでママゴトのセットのようだ。しかし本体は小さいながら手抜きがなく本格的。とくに電源ケーブルの太さ、丈夫さには驚いた。スピーカーケーブルにでも使いたいくらいだ。とはいえなにぶんにも小型軽量、使用率はあまり高くない。いくら冷却ファンと保護装置がついているといっても、無茶な使い方は禁物である。しかし家庭用にはこれでも十分過ぎるほどだ。あとは電源である。200Vを用意しなければならないが、こちらはもう少し後になりそう。コイツを目の前に置いて黄色い筐体を撫で摩り、さてこれから何をしでかそうかと良からぬ思案をしていると、なにやらうれしげな気分やくそ力が湧き上がってくるのである。
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