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ホロフォニクスとは何か?
2010年1月3日
 
ホロフォニクスとは何か?。この問いに対する答えは実に単純明快である。
実空間で人間の聴覚が脳に送り込んでいる音の空間的な情報を、その音を集録・再生したときにも同様に脳に送り込むこと。そのようなことを行なうシステム、または技術のことである。
これは全ての立体音響システムの一つの理想でもある。ホロフォニクス自体は何も特殊なものではない。それが特殊視されるのはバイノーラルシステムとの対比においてであり、またその技術が理解されないためでもある。
ホロフォニクスとバイノーラルを隔てているものは何か。それはバイノーラルシステムが自らの理論によって自分自身に制限を課しているのに気付かないということである。具体的に言えばバイノーラル収録された音の空間的な情報が、実空間で得る音の空間的な情報と決して等価にはならない、ということが理解されていない。十分な過去から未来にわたる実空間の音の状態と、人間が感じている音の空間的イメージとの関係という意味で伝達関数は確かに存在するはずだが、制限を課されたバイノーラルシステムでは正常な伝達関数もその測定も期待できない。
ホロフォニクスが未だに謎であるのは、その技術が公開されないからではなく、上記のことが理解されないためである。ズッカレリ氏自身はそのことを面白がっているように見える。彼はすでに全てを語っているからである。
ともあれホロフォニクスにはやるべきことはまだ多く残されている。ホロフォニクスとそれに関わる方々に、これからもホロフォニクスへの希望と努力を忘れないでいただきたいと思うのである。より人間の聴覚に近づくために。
 
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