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 日常のありふれた音の記録です
2005年10月
2005年10月28日 四国の香川県は予讃線、高松〜多度津間にSLが走る。10月28、29、30日の3日間。1日2往復である。前回JR四国でSLが走ったのは平成14年とのことなので実に3年ぶり。路線や牽引する客車などから魅力はイマイチという感じだが、とにかく近くである。休みの取れる28日だけでもと出掛けてみることにした。ところがうろうろしているうちに、この1日も午前中に用事が入り空きは午後だけとなってしまった。こうなりゃ強行突破である。当日は朝早くから前倒しで用件を済ませ、大急ぎで昼飯ならぬ猫マンマをかっ食らって、11:05の列車で出発、途中乗り換えて瀬戸大橋線の快速で12:38高松着。駅の周辺を歩くとやたらと新しいビルが立ち並び、妙に真新しい街という雰囲気だ。取りあえず最初はここでということで、次の録音地点までの切符を買い再び駅に入る。ホームは一番端の9番。他の列車の騒音を心配していたが、ここは意外と静かで一安心。初日だが平日ということでそこそこの人出を予想していたがこれは正解だった。JRの職員さんが4〜5名出て警戒に当っているが特に何事もなし。やがてディーゼル機関車に牽引されて入ってきたC56160、あまりにも小さいので驚いてしまった。人垣ができるとほとんど何も見えなくなる。山口号との重連で目にしているはずだが、眼前にするとちょっとショックだ。発車は14:00。出発の汽笛はかなり強烈である。マイクもDATも完全にレベルオーバー。これは覚悟の上だ。しかしドレンの音もかなり厳しい。これがペアマイクの録音だと、別に高耐入力のダイナミックマイクと録音機のセットを用意して同時に録音。あとで汽笛の部分だけ差し替えて24bitのフォーマットに落とし込む、という手もあるのだが、どのみち定着できるメディアはマイナーなDVDAudioくらい。だいいち再生そのものがほとんど不可能だ。実物並みの音量を出したらヤワなスピーカーはぶっ飛んでしまう。
Sample1.mp3 1分18秒 1.49MB 15秒ほど前に発車の汽笛が鳴っているのだが、もちろん録音なんて不可能、完全に歪みまくっている。ドレンの音もマイクにはかなり厳しい。人工ヘッド"Alqays"とTCD-D100で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
Sample2.mp3 1分18秒 1.49MB 讃岐府中駅のホームで。通過時に列車を追って90度ほどパンをかましてみたがあまり効果なし。こちらも耐入力オーバー気味だ。人工ヘッド"Alqays"とTCD-D100で録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
上りの列車には讃岐府中駅を選んだ。周りに人家が少なく、主要道路から比較的離れているというのが理由。しかし現地に到着してみるとこれはいかんという感じである。路線の北側を通っている道路の交通量が予想外に多い。駅の南側も山向こうのどこかで工事をしているらしく、トラックが頻繁に山道を行き来している。駅の下には朝から来ているらしいカメラマンが一人、時間待ちで手持ち無沙汰な様子だ。こちらも暇なのであちこち歩き回ってみたが、線路自体3mくらいの高さにあるので、適当な距離と位置を確保できるポイントがない。下手をすると車の騒音に埋もれた走行音だけになりそうだ。結局駅のホームで線路一つ隔てての録音となった。通過時刻が近付くにつれてカメラマンと見物人が増えてくる。意外に思ったのはJRの職員さんが3人も出張って厳しい表情で警戒に当っていること。単にSLが通過するだけの田舎の小さな無人駅なのになんでまた・・・、と思ったが。どうもここは撮影ポイントの一つになっているようだ。駅の両側で線路がカーブしており、近くに目障りな建物がなく、見通しがいい。でも皆さんマナーの良い人達ばかり、怪しげな目つきで睨まれたのはボクくらいのものである。17時少し前にSLの通過。線路1つ隔てただけの録音はやはり厳しい。帰りの列車はすでに薄闇の迫る夕暮れ時。なんだか慌しい一日だった。

2005年10月25日 今日も午前中だけということで出かける。天気はいいのだが意外と遠くの音が侵入してきて、車の騒音から逃げ切れない。円張川沿いに山の中腹あたりまで上って谷川に下りてみると、このところ雨が少ないのでほとんど流れらしい流れはないが、小さな水音のしている場所がいくつかある。そのうちの一つの水音のそばに三脚を立てて録音開始。しかし水音のほかにはほとんど音がない。もうすこし何とかならないかと流れの中の石ころや小枝や枯葉を動かしてみるが、なかなか難しく、いじり回しているうちにいかにもわざとらしい音になってしまう。やっぱり自然のままがいいのかも。
Sample.mp3 1分30秒 1.71MB もう少し面白みのある音にならないかと、小石や小枝をあれこれ並べ替えてみるのだが・・・。あまりいじり過ぎるとかえって取って付けたような音になってしまう。小型マイク"Elk"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
いつの間にか家の横手にボケの木が生え、実が数個なっている。カリンというのは庭木で良く見かけるが、実も大きく形も整っており数も多い。こちらは薬用として咳止めになるらしい。ボケの実は柚子くらいの大きさ。しかし形もいびつなら、表面は凸凹のあばた面、大きさもてんでんばらばらだ。ゴブリンの石頭みたいでとても見られたものじゃないのである。しかも強烈な酸味がある。で、コレをどうするのかって・・・。実は薄切りにしてレモンの代わりに使うのである。独特の強い香気があって、レモンとはまた違う格別の風味。なかなかよろしい。紅茶と良くあう。しかしこういうのってやっぱりゲテモノ趣味なのかな。

2005年10月21日 なんとなく時間が取れないまま10月も下旬に入ってしまった。ついでに月末の予定もアウト、半日しか時間が取れない。こうなりゃ強行突破でもするか・・・。今日も今日で午前中と午後に用件が入ってしまった。仕方がないので夜明けと日没にその辺で録音。朝晩は地面が冷えているので遠くの音が良く聞こえる。特に朝は車の騒音も少なく、音は複雑怪奇で繊細微妙。しかもハードでシャープでハイスピードである。これをそのまま録音再生して再現するのは、ほとんど不可能という感じだ。
Sample.mp3 1分24秒 1.67MB。小型マイク"Elk"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
  夜明けと日没時の音。どちらも遠くの音がよく聞こえるが、朝の方がよりシャープでハイスピードだ。違うのは騒音、夜明けはあまり車の音が聞こえない。
Sample.mp3 1分16秒 1.46MB。小型マイク"Elk"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
また例の4980円のスピーカーである。どうにも気の抜けたような音だ。これじゃ〜使い道がないやい。といっても周波数特性はほぼフラットで、とくにハイ落ちや中弛みといったほどでもないようだ。いろいろ調べてみると、トゥイーターを塞いだ時に高域がわずかに上昇する。トゥイーターの接続が逆?。そこで正相から逆相に変えると音は激変、・・・はしなかったが一変。これならなんとかなりそうだ。
とかやっているうちにメインのスピーカーを何とかしたくなった。すでに老朽化も限界の域。問題はユニットである。昔からフルレンジ一辺倒、なので当然ユニットはF社のESシリーズが候補に挙がるが今はない。となるとEΣシリーズ。しかしいろいろ調べてみると、どうもES、ESUシリーズとまったくの別物と考えたほうが良さそうだ。コーンも磁気回路も周波数特性も違う。しかも一癖も二癖もあるという感じだ。10cm口径は1kHz付近のディップが気になる、多分エッジの逆共振。これだけ深くて広いと音色に影響が出る。高剛性のエッジなので共振が分散せず、一ヶ所に集中してしまったのが原因かも。16cm口径は高域が山あり谷あり、峨々としていてちょっと近寄りがたい感じだ。20cm口径のほうはというと能率の低さとハイ落ちが気になる。スーパートゥイーターだけではとてもまともに繋がりそうもない。普通のトゥイーターにアッテネーションが必要。たとえフラットになったとしても聴感上は高域が中弛みになる。かなり苦労しそう。いっそスタンダードシリーズの12cm口径、20cm口径でも検討してみるか・・・。こちらもかなりのじゃじゃ馬ぞろい。手なずけるのは容易な事ではなさそうだ。

2005年10月4日 午前中ちょっとばかし出掛けてみようかと早くから目を覚ましたが、どうにも気乗りしないどんより曇った音のない朝である。案の定、9時頃から雨がポツポツ降り始めた。これじゃ外で草取りもできないってなわけで、パソコンに向かいファイルの整理。それでも午後になると雨も止んでしまったので、いたたまれなくなり家を飛び出した。キャンプ場から神社へと回ってみたが相変わらず静まり返って音がない。最後に円張川までたどり着いて山道を登っていくと、こちらはまずまずの状態である。ところがそこでなんとも面妖な光景に出くわした。
Sample.mp3 1分38秒 2.63MB わりと閑散とした何でもない音だが、低ビットレートでMP3に変換すると破綻してしまった。最高域のレベルが高いのが原因かも知れない。小型マイク"Esrit"とMDで録音。(すべての音響効果をOFFにして、ヘッドフォンでお聞き下さい / Please turn off all of sound effects and use a headphone)
一羽の鳥が樹上でけたたましく鳴いている。その下の斜面の草むらの中ではキジバトより二回りほど小さい褐色の鳥が2羽低い声で鳴きながら歩き回っている。近付いても慌てて飛び去る気配もない。ふと見ると道端のU字溝の中を、こちらはずいぶん小さな小鳥が走り回っている。最初は子ネズミかと思ったほどだ。面白いのでさっそく録音を開始したが、不思議なことにディスクの1枚目が終了する頃になっても、この状況は変わらないのである。どう考えても何の関わりもなさそうな三者は、まるで密接な関係でもあるかのように、付かず離れずごく狭い範囲を移動しているばかりだ。マイクを移動し、2枚目のディスクに交換した頃、ようやく樹上の鳥は実は地上にいるのではないかと気が付いた。本来音源がある場所とはまったく別の所から音が聞こえる、そういう経験が以前あるのである。調べてみると確かに地上に音源があるらしい。右に首を傾けると頭上というより右側から声が聞こえ、左に傾ければ左か声が聞こえる。最初は地上を歩き回っている鳥の声かと思ったが、低い鳴き声とのタイミングが合わないし、水平方向の位置も一致しない。よく注意して聞いていると、どうもU字溝の中を走り回っている小さな小鳥の位置と一致しているようなのである。まさかと思ったが近付いて調べてみた。確かに鳴き声と嘴の動きが一致している。間違いない。それでも実物を目の前にしてさえ、声は頭上から聞こえて来るのである。不思議なものだ。ここに至ってようやく蜘蛛の巣の張った頭蓋にも理解の光明が差し込んだ。何のことはない、U字溝に落ち込んだ雛鳥が鳴き叫ぶのを、二羽の親鳥が救い出すこともできず、あたふたと走り回っていたというだけのことなのである。幸い掌に乗ってくれたので無事助け出せたが、声からするとどうやら親鳥と出会えたようだ。それにしてもコレ、ウチの極悪猫が目にしたら、腰をクイクイとばかり左右に振り、狂喜乱舞するに違いない光景である。そうだよな、毛むくじゃら。
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